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それはちょっと・・

今月末に心臓の手術をすることが決まった姉のところへ陣中見舞いに行ってきた。
落ち込んでいるかと思っていたが案外元気だった。
義兄が逝ったショックから少しは立ち直ってきたようにも見える。立ち直らなくてはならない現実のなかの雑事がそれを薄めているのかも知れない。
家・銀行・役所関係など・数々の名義変更・・今まで経験したことのないことばかりの重石が肩に乗っているようです。
お茶を飲みながら突然姉が立ち上がって二階から小さな箱を持ってきた。
「あんたにこれ渡しとく・・」
なに?これとワタシ・・
「おかあちゃんの形見の指輪やんか・・」という。母はバッグや袋物、それと指輪が好きで沢山持っていた。その中の一個です。
なんで?突然どうしたん?
「アンタ形見はいらんと言うて貰わへんかったよね・・」
そうでした・ワタシは母が病室で使ってた肩掛けだけ貰ったのだった。冬場パソコンする時ワタシを暖かくするあれです。
母を忘れたかったワケではないのです・・その時それでいいと思ったのだった。

「三人姉妹の間に挟まって一番気苦労したんやからこれはアンタが持つのが一番エエと思ってね・・」
えぇ?それは姉ちゃんが貰っとき・その色の指輪は私に似合わへんから・・
「アカン、貰っといて・これはおかあちゃんが一番気に入ってたよね・」
ワタシはちょっと気色がわるくなった。

これを貰って、もしも姉ちゃんが変なことになったらどうする・・これは指にはめて病院に行き・・元気で帰ってくるに決まってるけど・・帰ってきた時考えよ・・な?
「そうか・・それならそうしょうか・・」
そうしよう・・その方がええよ・・
ねぇちゃん弱気はアカンで・・強気でもう一個新しい心臓貰う気でいかんとアカンよ・・。

梅雨の晴れ間の午後でした。
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by hanairomimi201 | 2009-07-04 08:11 | うだばなし
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